編入勉強記録

編入勉強始めたばっかの人の日記

有限次元ベクトル空間の時の面白い定理、命題2

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松坂・線形代数読み終わったら斉藤・線形代数か佐竹・線形代数を読んでみたい。

 

今日は問題にあった面白い問題の証明でもしていこうかなと思います。

松坂・線形代数は計算問題に関しての解答は載ってるけど証明問題に関してはほぼ載ってないから証明できたと思ってもそれがあってるかあってないかの確認が自分ではできないっていうなんとも言えない参考書ですけど、説明はとても丁寧でわかりやすいと思うので問題を抜きにすればすごいいい参考書だと思います。

 

それでは今日の本題

 

n次の正方行列AがA^2=Aを満たすならば、P^{-1}APが

\begin{pmatrix}I_r&O_{r,n-r}\\O_{n-r,r}&O_{n-r,n-r}\end{pmatrix}

となるようなn次の正則行列Pが存在することを示せ。ここにr=rankAである。

証明

Aにより定まる線形変換をL_Aとする。
仮定よりA^2 = Aが成り立つ。よってIm{L_A}^2 = ImL_A,Ker{L_A}^2 = KerL_A
が成り立つ。前記事より、K^n = ImL_A \oplus KerL_Aが成り立つ。
rankA = rankL_A = rより、ImL_Aはあるr個の1次独立な元によって生成される。
その生成元(基底)を、\{\boldsymbol{p}_1,\cdots,\boldsymbol{p}_r\}とする。
また、dim(KerL_A) = n-rより、KerL_Aのある基底を\{\boldsymbol{p}_{r+1},\cdots,\boldsymbol{p}_n\}とする。
K^nはImL_AとKerL_Aの直和で表されるので、\{\boldsymbol{p}_1,\cdots,\boldsymbol{p}_r,\boldsymbol{p}_{r+1},\cdots,\boldsymbol{p}_n\}は、
K^nの基底となる。この基底を\alphaとする。(この証明は別途)
そして、Fの基底\alphaに関する表現行列を考える。まず\varepsilonをK^nの標準基底とする。
まず、L_Aの基底\varepsilonに関する表現行列は、Aに等しい。
なぜならば、A=(a_{ij})とすると

\displaystyle L_A(\boldsymbol{e}_i) = \sum_{i=1}^n a_{ij}\boldsymbol{e}_i = \boldsymbol{a}_i

が成り立つからである。ここで\boldsymbol{a}_iはAの第i列ベクトルである。
よって、

L_A = {\psi}^{-1}_{\varepsilon} \circ L_A \circ {\psi}_{\varepsilon}

が成り立つ。
またP=(\boldsymbol{p}_1,\cdots,\boldsymbol{p}_r,\boldsymbol{p}_{r+1},\cdots,\boldsymbol{p}_n)としたとき、Pはn次の正方行列で、
かつ、\boldsymbol{p}_1,\cdots,\boldsymbol{p}_r,\boldsymbol{p}_{r+1},\cdots,\boldsymbol{p}_nは1次独立なので、Pはn次の正則行列である。
P=(p_{ij})とすれば、

\displaystyle \boldsymbol{p}_j = \sum_{i=1}^n p_{ij}\boldsymbol{e}_i

となるので、Pは基底変換行列T_{\varepsilon \to \alpha}と見ることができる。
また基底変換行列T_{\alpha \to \epsilon}は、P^{-1}である。
基底変換表現行列の定義によって、

L_P = {\psi}^{-1}_{\varepsilon} \circ {\psi}_{\alpha} , L_{P^{-1}} =  {\psi}^{-1}_{\alpha} \circ {\psi}_{\varepsilon}

である。上記のことより、

L_{P^{-1}} \circ L_A \circ L_P = {\psi}^{-1}_{\alpha} \circ {\psi}_{\varepsilon} \circ {\psi}^{-1}_{\varepsilon} \circ L_A \circ {\psi}_{\varepsilon} \circ {\psi}^{-1}_{\varepsilon} \circ {\psi}_{\alpha}
= {\psi}^{-1}_{\alpha} \circ L_A \circ {\psi}_{\alpha}

となるので、L_Aの基底\alphaに関する表現行列は、P^{-1}APで表される。
P^{-1}AP=(q_{ij})とすると、L_{P^{-1}AP}は、定義より

\displaystyle L_{P^{-1}AP}(\boldsymbol{p}_j)= \sum_{i=1}^n q_{ij}\boldsymbol{p}_i

が成り立つ。
また、P^{-1}APP^{-1}AP = P^{-1}A^2P = P^{-1}APより、{L_{P^{-1}AP}}^2=L_{P^{-1}AP}が
成り立つ。よって、上式をまたL_{P^{-1}AP}で送ると、

\displaystyle {L_{P^{-1}AP}}^2(\boldsymbol{p}_j) =  L_{P^{-1}AP}(\boldsymbol{p}_j) = \sum_{i=1}^n q_{ij}L_{P^{-1}AP}(\boldsymbol{p}_i)

が成り立つ。L_{P^{-1}AP}(\boldsymbol{p}_k) =\boldsymbol{0} (k=r+1,\cdots,n)に注意すれば、
P^{-1}AP=(q_{ij})は明らかに

\begin{pmatrix}I_r&O_{r,n-r}\\O_{n-r,r}&O_{n-r,n-r}\end{pmatrix}

となっている。これで証明が完了した。

はあ、やっと終わった。実はこの証明を書く前にノートにプロットしておいたんですけどこの記事書いてる途中に不備見つけてやり直しになってしまい結構この証明書くのに時間がかかりました・・・。明日テストだっていうのにこんな時間まで何してるんだか。これからテスト勉強やりたいと思います。明日はこの証明の途中の行間に必要な定理の証明を書いていこうと思います。それでは